国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
自然起源放射性物質データベース
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用語集


放射能

放射能には、
①放射性核種が自発的に放射性壊変してα線、β線、γ線などの放射線を放出する性質
②単位時間の崩壊数で表した放射性核種の量
の2つの意味があります。
放射能の単位はBq (ベクレル:1秒間あたりの壊変数)で表されます。放射性壊変で放出される放射線の種類や放出率は放射性核種の種類ごとに異なります。



放射能濃度

放射能濃度とは、放射性核種を含む物質の単位体積、単位質量当たりの放射能のことを言います。
放射能濃度の単位はBq/g、Bq/lなどです。



U-238系列核種

U-238(ウラン238)は8回のα壊変と、6回のβ壊変を経て、安定核種のPb-206(鉛206)になります。U-238からPb-206までの核種をU-238系列核種と呼びます。
<壊変系列>
U-238→Th-234→Pa-234m→U-234→Th-230→Ra-226→Rn-222→Po-218→Pb-214→Bi-214→Po-214→Pb-210→Bi-210→Po-210→安定核種Pb-206
通常の天然の土壌岩石などは、地域や物質で差はあるもののU-238系列核種を必ず含んでいます。通常の天然の土壌岩石などに含まれるU-238系列核種(安定核種Pb-206を除く)は、長年の壊変過程でほぼ同じ放射能濃度になっています。たとえば、Ra-226が1Bq/gであれば、U-238、Th-234、Pa-234m、U-234、Th-230、Rn-222、Po-218、Pb-214、Bi-214、Po-214、Pb-210、Bi-210、Po-210も1Bq/gになっています。





Th-232系列核種

Th-232(トリウム232)は6回のα壊変と、4回のβ壊変を経て、安定核種のPb-208(鉛208)になります。Th-232からPb-208までの核種をTh-232系列核種と呼びます。
<壊変系列>
Th-232→Ra-228→Ac-228→Th-228→Ra-224→Rn-220→Po-216→Pb-212→Bi-212→Tl-208→Po-212→安定核種Pb-208
通常の天然の土壌岩石などは、地域や物質で差はあるもののTh-232系列核種を必ず含んでいます。通常の天然の土壌岩石などに含まれるTh-232系列核種(安定核種Pb-208を除く)は、長年の壊変過程でほぼ同じ放射能濃度になっています。例えば、Ac-228が1Bq/gであれば、Th-232、Ra-228、Th-228、Ra-224、Rn-220、Po-216、Pb-212、Bi-212、Tl-208、Po-212も1Bq/gになっています。



K-40

K-40(カリウム40)は、自然起源の放射性核種の一つです。通常の天然の土壌岩石などは、地域や物質で差はあるものの必ずK-40を含んでいます。



実効線量

実効線量とは放射線被ばくによる全身の健康影響を評価するためのもので、放射線防護の目的にのみに使用されます。実効線量は、組織当たりの等価線量に組織荷重係数を乗じたものを、各組織で加算して算出されます。単位は、シーベルト(Sv)です。以前は、実効線量は実効線量当量と呼ばれていました。



等価線量

特定の組織または臓器が受けた線量。各組織・臓器の平均吸収線量に放射線荷重係数を乗じて求められます。単位は、実効線量と同じで、シーベルト(Sv)です。



自然起源放射性物質(NORM)
自然起源の放射性核種

<一般的な説明>
「核種」とは原子核の種類のことで、なかでも放射線を放出するものを放射性核種といいます。放射性核種は、「人工で生成されたもの」(人工放射性核種)と、「自然を起源としたもの」(自然起源の放射性核種)があります。自然起源の放射性核種は、起源の違いによって「地球形成過程で宇宙空間から地球に取り込まれた放射性核種」と「宇宙線によって自然に生成される放射性核種」に分けられます。人工放射性核種を含む物質を人工放射性物質といい、自然起源の放射性核種を有意に含む物質を自然起源放射性物質(NORM:Naturally Occurring Radioactive Materials)といいます。

<専門的な説明>
国際原子力機関(IAEA)の発行する原子力安全および放射線防護のための用語集(IAEA Safety Glossary 2007) によると、NORMは「自然起源の放射性核種以外に有意な量の放射性核種を含まない放射性物質」と定義され、放射性物質は「放射能を有することで、国の法律や規制当局によって規制の対象となる物質」と定義されています。つまりNORMとは「自然起源の放射性核種以外に有意な量の放射性核種を含まず、放射能を有することで規制の対象となる物質」と解釈できます。その解釈で、わが国においてNORMを厳密に定義するのであれば、原子炉等規制法で規制の対象(核原料物質使用の届出が必要)となる放射能濃度・数量を超える物質だけがNORMですが、実際にはその放射能濃度・数量以下の物質であっても一般的な土壌・岩石と比べ高い放射能濃度を有していればNORMと呼ばれる場合があります。



IAEA規準値

IAEA安全指針(RS-G-1.7)において「国際防護規準の適用から除外するための規準値」が提案されています。本データベースでは、この規準値のことを省略してIAEA規準値と表記しています。IAEAでは物質中の自然起源の放射性核種が表に示されたIAEA規準値以下の場合、放射線防護の管理の対象として考える必要はないとしています。また、IAEA規準値の放射能濃度を有した自然起源放射性物質を用いて作業した場合、作業者の被ばく量は最大で1 mSv/年をこえないだろうとしています。

自然起源の放射性核種 IAEA規準値
(Bq/g)
K-40 (カリウム40) 10
K-40以外の核種
例えば、
・Th-232系列 (Th-232,Ra-228,Ac-228,Th-228,Ra-224,
Rn-220,Po-216,Pb-212,Bi-212,Tl-208,Po-212)
・U-238系列 (U-238,Th-234,Pa-234m,U-234,Th-230,
Ra-226,Rn-222,Po-218,Pb-214,Bi-214,Po-214,Pb-210,
Bi-210,Po-210)
など
1

通常の物質でIAEA規準値を超える可能性がある核種は、主にU-238系列、Th-232系列です。



放射線の影響

放射線の被ばくによる影響として、身体に与える影響(身体的影響)や子孫に先天異常を引き起こす(遺伝性影響)の2つがあります。身体的影響として「すぐに現れる影響(急性障害)」と「数十年後に現れる影響(晩発障害)」があります。急性障害として、脱毛や不妊などの障害があります。晩発障害として、白内障、ガンなどの障害があります。遺伝性影響として、動物実験の結果から、代謝異常や軟骨異常などの遺伝障害が報告されています。また、放射線の被ばくによる影響は、放射線防護の観点から確定的影響と確率的影響の2つに分けられます。


確定的影響は左下図のように、身体に影響が現れる放射線の被ばく量(しきい値)がある影響のことをいいます。確定的影響として、「脱毛、不妊、白内障など」が挙げられます。しきい値以下であれば、放射線によって影響が引き起こされることはありません。 高い被ばく量を自然起源放射性物質から受けることはありません。
 確率的影響は、右下図のようにしきい値がありません。確率的影響は、どんなに低い被ばく量でも被ばく量の増加に応じて影響が現れる確率が増加すると仮定するような影響のことをいいます。確率的影響として、「ガン、遺伝障害」が挙げられます。ただし、長崎、広島の原爆被爆者を対象に実施されている疫学調査によると、放射線の被ばく量が およそ100mSv超えたところでは、被ばく量とガンによる死亡率が比例することが分かっていますがそれより低い被ばく量においては、ガンのリスクの増加があるかどうかは明らかになっていません。また遺伝障害については、長崎、広島の原爆被爆生存者全体において増加したことは確認されていません。
 放射線防護の目標は、確定的影響については被ばく量をしきい値以下にすることでその影響の発生を防止し、確率的影響については、その発生確率が容認できるレベルに抑えることとされています。確率的影響における職業被ばく量の限度は、その考えに基づいて20mSv/年(5年間の年間平均値)に定められています。日本の現在の公衆における被ばくの量の限度は、20mSv/年より低い1mSv/年に定められています。


放射線により起こるガンのリスクは、原爆被爆者などの調査で100mSv以上の線量で線量とともに発生確率が高くなることが認められていますが、その大きさは200mSv受けた人のうち約1%がガンで死亡すると程度であると推定されています。自然放射線による数mSv程度の放射線では、ガンが発生するかどうかは明かでありませんが、同じように線量とともに高くなると仮定して、できるだけ線量を低く保つことにより防護することが重要であると考えられています。



放射線の防護方法

放射線による被ばくは、「身体の外側から受ける放射線による被ばく(外部被ばく)」と「口、鼻、皮膚などから体内に取り込まれた放射性核種から発せられた放射線による被ばく(内部被ばく)」の2つに分類されます。たとえば、地面から発せられている放射線による被ばくやレントゲン写真を撮ったときの被ばくは外部被ばくに分類され、体内に存在するK-40から発せられる放射線による被ばくは内部被ばくに分類されます。人工放射性物質および自然起源放射性物質を取扱う場合は、内部被ばくと外部被ばくの両方を防護することが重要です。


<外部被ばくの防護方法>

 外部被ばくを防護する方法として、「物質から距離をとる」、「作業時間を減らす」、「遮蔽する」の3つが挙げられます。(防護の3原則:距離、時間、遮蔽)
「物質から距離をとる」
放射性核種を多く含む物質の近くで作業を行うと、被ばく量が多くなります。物質と離れて作業を行うことで、被ばく量を低減できます。
「作業時間を減らす」
放射性核種を多く含む物質を取扱う作業を長時間行うほど、多くの放射線を浴びることになります。作業時間を減らすことで被ばく量を低減できます。
「遮蔽する」
物質から発せられる放射線を遮蔽することで、被ばく量を低減できます。遮蔽体に厚い鉛板を用いると、ほとんどの放射線を遮蔽することができます。



<内部被ばくの防護方法>

内部被ばくを防護する方法として、「吸入摂取を防ぐ」、「経口摂取を防ぐ」、「皮膚や傷口からの侵入を防ぐ」の3つが挙げられます。
「吸入摂取を防ぐ」
作業工程中に空気中へ飛散された物質を吸入摂取してしまう場合があります。 マスクの装着や集塵機による空気清浄を行うことによって、取り込まれる量を低減できます。
[集塵機による空気清浄の注意:集塵機のフィルタに放射性物質が徐々に溜まり、そこから発せられる放射線によって高いレベルで被ばくする場合があるので定期的にフィルタを取り換える必要があります。]
「経口摂取を防ぐ」
身体を放射性核種を含む物質で汚染させておくと、経口摂取する恐れがあります。身体の汚染を防ぐために作業着等を着用することが有効です。
「皮膚や傷口からの侵入を防ぐ」
皮膚や傷口から侵入させないように、物質に直接触れることを控えるようにします。


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